「本心」 平野啓一郎

「ー母を作ってほしいんです。」

 

 

 

自由死が認められる近未来で亡くなった母が「死の一瞬前」に何を思ったか。

 

 

生前「自由死」を望む母が何故そのような結論を出すに至ったか、母の「本心」を知りたい主人公朔也(さくや)はヴァーチャル・フィギュア(VI)を製作し機械学習により母の本心に迫る。

 

 

「もう十分」と吐露する母の想いを探りながら朔也と周囲の人間関係を格差、貧困、男女問題、死生観、文人主義、、、と様々な角度から描いた作品。

 

 

個人的には現状の格差は今後拡がりつつ孤独、個人化、自己責任に拍車がかかりこういった未来も想定されるのだろうなぁと思いながら分断されていく中で他者との関係性をどう紡ぐのか、、、

 

 

どうでもいいですが身体活動を伴った他者との関わりの必要性というのは個人的に関心のあるテーマで、人と関わりながら個人のユニークネスを表出する機会がないなぁとも思いました。小学生や中学生の頃は当たり前にできていたように自分のことを人に話す、話を聞いてもらうといったことって年を追うごとに少なくなってるなぁとしみじみと思います。向き合うものの比率にしても仕事や社会に対しての関心は多いけど人間への関心ってどうなんだろう、、、?とも思えます。

 

 

脱線しましたが、知りたいけれども知れない他者の「本心」とは何なのかを最終章のタイトルにもあるように「最愛の人の他者性」を通してわからないけどわかろうとする、あいまいだけどそれが人間なのかなと思えました。

 

 

平野さんの作品は面白くて時折現れる哲学めいた表現やフォントに注目してしまいます。

 

 

ー僕は生きる。しかし、生が、決して後戻りのできない死への過程であるならば、それは、僕は死ぬ、という言明と、一体、どう違ったのだろうか?生きることが、ただ、時間をかけて死ぬことの意味であるならば、僕たちには、どうして、「生きる」ということが必要なのだろうか?ー

 

 どうして必要なんですかね?

目的や理由は難しいです。私自身は「理念」を持って生きることで道筋を立てようと思っていますが自問自答の毎日ですねぇ。

 

 

読んだ後の言い知れない心地の良さは単に読了したからではないですので是非ご一読いただければと思います。ストーリーも面白いですが、それを通して現実社会を気にかけたりするのも個人的な好きです。

 

思ったことはもっとたくさんあったのですが書いてみるとなかなか難しいものでした。やはり記憶や想いを表現するのは難しいです。

 

 

拙い文章で申し訳ございませんが読んでいただきありがとうございました。

 

 

はじめまして

はじめまして。

 

 

サッカー観戦と読書が好きな糖尿病に興味のある理学療法士です。

 

 

アウトプットが苦手なのでこういった場を借りて自分なりに学んだことや心にうつりゆくよしなしごとを書き付けていこうかと思っております。

 

 

よろしくお願いします。